前回は「ハイオクとレギュラーの違い」と言う事で、ガソリンを使い分ける際の注意点をお届けしました。
そして、ガソリンを取り上げたならやっぱこれも書かなきゃ!
と言う事で、今回はディーゼルエンジンとガソリンエンジンの違いについて、軽油とガソリンの違いを通してお伝えしていきたいと思います。
昔からの定番ネタで、「軽自動車だから軽油入れたら車壊れちゃった♪」なんてお話があります。
さすがに都市伝説だろうと思いながら、ガソリンスタンドで働く知人に聞いてみたら、本当に時々だけど、実際にオーダーする人がいるとの事^^;
冗談みたいな話ですが、私たちの周りにもいるかもしれません。勘違いをしている方がいたら分かり易く教えれる様、一緒に学んでいきましょう♪
本日も素人目線でしか書けない、素人の為の情報として簡単にまとめていきたいと思います。
軽油とガソリンってどう違うの
まず最初に、ご存知だとは思いますが、軽油の「軽」は軽自動車の軽ではありません。
原油を蒸留する際に底に残る重油に対して、蒸留する(原油を熱して蒸発させて取り出す)事で抽出出来るから「軽」。熱して一度蒸発させるのは、確かに軽いイメージがありますよね^^
で、レギュラーやハイオクといったガソリンも、同じく原油からの蒸留抽出です。
じゃあ何が違うか。
それはズバリ、蒸留する時の温度です。
一般にガソリンは軽油よりも低い温度で抽出します。この抽出方法の違いから、同じ原油から抽出したものなのに、沸点に差が出てきます。
- 軽油の沸点:180℃~350℃
- ガソリンの沸点:30℃~220℃
軽油の方が沸点が高いですね。ガソリンは常圧・常温でも燃えますが、軽油は高圧・高温で良く燃えるようになります。
これで何が変わるのかと言えば、エネルギー効率。
前回、レギュラーよりハイオクの方がより圧力を掛けられ、ギュッと詰まったガソリンと空気を爆発させられるので、より大きなパワーが必要な車に適しているとお話しました。
軽油だと、更に強い圧力を掛け、高温で爆発させる事になりますので、更にエネルギー効率が良くなり、高出力&低燃費となります。
ですので、重くてよりパワーが必要な大型自動車(バスやトラックなど)は軽油を採用する場合が多いです。乗用車でも、SUVや大型ワゴンなどの排気量の多い車のイメージが強いですよね^^
高出力&低燃費と聞くと、どんな車でも軽油を採用すれば良いんじゃ?と思ってしまうかもしれませんが、もちろん軽油にもガソリンと比べてのデメリットがあります。
軽油のメリット・デメリット
軽油はその性質上、どうしても高温・高圧にする為にガンガンエンジンを回さないとエネルギーを取り出せません。
すると、当然車の振動や騒音は大きくなってしまいます。
ですので、現在最も売れているであろう小型車には向いていません。小さければ小さいほど、回転数が上がった時の振動は強くなり、乗り心地が悪くなってしまいますからね。(ただし、最近では静かな低圧ディーゼルの開発も進んでいます)
また、寒さに弱いという点も挙げられます。
ガソリンは常温帯であれば凍る事はありませんが、軽油は寒さで凍ってしまう場合もあります。
寒冷地では寒さに強い軽油を販売していますので、給油する場所を選ぶ事で避けられますが、ガソリン車と比べて気にする事が増える分、どうしてもストレスになってしまいますね。
反対に、軽油のメリットは前述の通り、エネルギー効率が良い事です。
例えば、同じ車種でディーゼル(軽油)エンジンとガソリンエンジンを採用している場合、ディーゼルエンジンの方が一般にアクセルを踏み込んだ時の加速やパワーに優れています。
ですので、高速道路に入る時の加速や、坂道を走る時などは軽油の方が楽だと言われています。
また、燃費が良いので、より少ない量の燃料で同じ距離を走れます。これはすなわち、CO2(二酸化炭素)の排出量が少なく、環境に優しいという事。
私が子供の頃は、ディーゼル車と言えば黒い煙を吐き出しながら走り回り、環境を悪化させているイメージが強かったです。
でも、最近は軽油の低硫黄化や排ガス対策などが進み、CO2の排出量だけでなく、排気ガスもガソリン車とほぼ変わらなくなりました。
こうしてメリットを書いていくと、ついつい「私の車にも軽油が入れられたら」なんて考えちゃいませんか?もちろん、実行する人はいないと思いますが^^;
合わせて、どうしてガソリン車に軽油を、ディーゼル車にガソリンを入れたら駄目なのか、簡単にエンジンの違いをお伝えしておきましょう♪
ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの違い
構造上の細かい違いは多々ありますが、最も分かり易いのが…
- ディーゼルエンジン:燃料室に軽油を吹きかけて爆発させる
- ガソリンエンジン:ガソリンと空気に圧を掛けて、点火プラグで爆発させる
この違いでしょう。
なぜこうも仕組みが違うかというと、ガソリンは火を近づけると良く燃えるが、軽油は熱を加える事で良く燃えるという特性があるから。
例えば、常温でガソリンにライターの火を近づけると、大爆発して非常に危険です。ガソリンスタンドが火気厳禁なのはこの為。でも、軽油には簡単に火はつきません。
対して、軽油は250℃になると自然に発火しますが、ガソリンは300℃になって初めて自然発火します。
この特性の違いを生かして、それぞれに合った構造でディーゼルエンジンとガソリンエンジンは作られているのです♪
したがって、「ディーゼルエンジンにガソリンを」「ガソリンエンジンに軽油を」入れても、車は走る事が出来る訳がありません。
油種を間違えるとどうなる?
ガソリンは潤滑性が低く、噴射に向いていません。したがって、エンジンの噴射装置が故障し、動けなくなってしまいます。
給油直後はガソリンと軽油が混ざっているため、少しの距離なら走れる事もありますが、エンジンの大規模修理が必要となります。
・ガソリンエンジンに軽油を入れた場合
軽油だけが燃料タンクに入っている場合はエンジンを掛けることさえ出来ません。しかし、給油直後は燃料パイプにガソリンが残っている状態なので、何の問題もなく(少しの間は)走る事が出来ます。
しかし、そのまま走り続けるとエンジン内で不完全燃焼が起こり、ススによって点火プラグが汚れ、車が止まってしまいます。
どちらもそうですが、誤給油に気が付いた時点で車を停め、レッカーを呼ぶ事が深刻な故障を免れる為の唯一の方法でしょう。
軽油とガソリンはどちらも車を走らせる為の燃料ですが、その性質は全く違います。エンジンもそれぞれに合わせた作りですので、燃料を間違えると車は壊れてしまいます。
最近はセルフのガソリンスタンドが多いので、特に間違えやすいですね。
特に車を借りた時は要注意。
油種は車の持ち主やレンタカーの受付でしっかり確認しておき、誤給油を間違ってしてしまわないようにする事が肝心ですよ♪