最近、「くださいと下さい」とか、「頂くと戴く」など、日本語について取り上げる事が多いインフォブインフォ。
このリサーチの中でとにかく目に付く事が多い言葉が今回のテーマです。
タイトルにもありますが、それは…
・ご苦労様とお疲れ様には使い方のマナーがある
両方とも労いの言葉ですが、間違えて使うと相手に苦笑いをさせてしまう可能性もあるこの2つの言葉。
一体何が違うのかを見ていきましょう。
「ご苦労様です」と「お疲れ様です」の使い方
一見、どちらも同じ意味の言葉に思えますよね。
しかし、ビジネスマナーの本を読むと…
- ご苦労様:目上の人から目下の人に対して使う
- お疲れ様:同等の関係、場合によっては目上の人に対して使う
と書かれている場合がほとんど。
例えば、職場で上司が大きなプロジェクトを終えたとして、その上司に対して「ご苦労様です!」と労うのは一般的に失礼とされています。
この由来は諸説あるのですが、最も多く見かけるのが以下の情報です。
何故!?
時代劇などでよく見られる、「ご苦労であった」という殿様から目下の者に対しての言い回しが転じたものだとされている為
「ご苦労様」は、どうしてもこの殿様言葉のイメージが強いので、目上の人に使うべき言葉ではないという事ですね。
なお、辞書で「お疲れ様」を調べると、次の様なポイントが記されています。
最も一般的な挨拶として、身分や立場に関係なく用いられる。「ご苦労様」は、目上の者が目下の者に対して用いる言葉とされ、目下の者が目上の者に対して用いることは失敬に当たるとされる。
引用元:weblio辞書
この通り、こうした使い分けをするのがマナーとされているんです。
ただし…日本語は難しい
ビジネスマナーとして上記の情報を取り上げましたが、「そんなに気にする必要は無い!」もしくは「間違いだ!」という意見も多く見られます。
ちょっと検索するだけでも…
- 「ご苦労であった」は実際には使われておらず、「大儀であった」が正しい
- 江戸時代の歌舞伎の世界では、目下から目上に対して「御苦労」が使われている
- そもそも労いの言葉を目下から目上に掛ける事自体が失礼にあたる
などなど、様々な意見・根拠の元で論議が交わされています。
また、この記事とは正反対の「本来は”ご苦労様”こそ目上の人に使う言葉だ!」という意見も見られます。
調べれば調べるほど「訳が分からない!!」となってしまいますが、私個人の意見としては「どれも間違っていない」と思っています。
例えば、戦前には「~して下さい」と漢字で書くのが正しいとされていたのに、現在は「~してください」と平仮名で書くのが好ましいとされています。
この様に、一般社会で使われる日本語の解釈は時代と共に変わっていくものです。その移り変わりの中で色々な意見が生まれるのは当たり前の事では無いでしょうか。
マナーは相手を不快にさせない為のもの。
この点で考えると、様々な意見がある以上、「ご苦労様・お疲れ様」は相手に合わせた使い分けをするべきです。
しかし、現実にはこの使い分けは不可能ですよね。例えば、初対面の場合には判断出来る訳がありません。
となると、やはり現在では一般的とされる「目上の人に対して”ご苦労様”は使わない」、もっと言えば、目上・目下という言葉に目くじらを立てる方も多い昨今では、「お疲れ様」のみを使うのが無難でしょう。
邦画好きの私としては、仁侠映画に出てくる、「親分、お勤めご苦労様でした」なんて言い回しの方が自然に思えたりもするのですけどね^^;