歴史好きにはたまらないと、隠れた評判を誇る岡山県の吉備津神社と吉備津彦神社。最近では県外から見学に来られる方も多いです。
友人が遠方から遊びに来ると、管理人は桃太郎伝説の元となったと言われている、吉備津彦命(きびつのひこみこと)に関係のあるスポット、この両神社や鬼ノ城、鯉喰神社などに連れ回してウンチクを聞かせまくっています(笑)
岡山の人間としては桃太郎は外せないですからね~^^
そんな時に必ず友人に聞かれるのが、「吉備津神社と吉備津彦神社って何が違うの?」という質問。
確かに、名前はそっくりですし、2km程しか離れていない徒歩圏内に位置していますし、この疑問が生じるのも当然ですよね。
そこで本日は吉備津神社と吉備津彦神社の違いについてお届けします。一緒に見ていきましょう!
まずは違いを簡潔に説明していきますね。
そうそう。距離感とか見た目はこちらの動画で掴めますよ。綺麗な動画を作られたアップ主さんに感謝です^^
一体何が違う?
元々吉備の国にあったのは吉備津神社です。吉備津彦神社はこの吉備津神社が分社して造られた神社です。
もう少し詳しくお伝えしましょう。
学生時代に日本史の授業で645年の大化の改新について学んだのを覚えていますでしょうか?
大化の改新は後に天智天皇となる中大兄皇子が、当時権力を牛耳り、天皇を蔑ろにしていた蘇我入鹿を暗殺し蘇我氏を滅ぼした後に行われた政治的な改革です。
この改革では、法律の整備の他、地方の国の見直しが行われました。
その結果、吉備の国は解体され、備中、備前、備後の三地域に分割されました。それに合わせる形で、吉備の国を守っていた吉備津神社が各地域に分社され、備前には吉備津彦神社が造られました。
当時は地域ごとに一宮(いちのみや)と呼ばれる、中央からのお達しが最初に伝えられる役割の神社があり、備中にも備前にも備後にも地域の守り神となる格式高い神社が必要だったのです。
その結果各地域の一宮が…
- 備中:吉備津神社(岡山市北区吉備津)
- 備前:吉備津彦神社(岡山市北区一宮)
- 備後:吉備津神社(広島県福山市)
と、元々備中に位置していた吉備津神社の神様を3ヵ所に分霊して現在の形になりました。
現代風に言えば、備中の吉備津神社がオリジナルという訳です。
観光であれば、まずは備中の吉備津神社に、その後備前の吉備津彦神社へ、更に余裕があれば備後の吉備津神社へ行くというコースがお勧めですよ。
さて、合わせて神社に行く前に知っておいた方が楽しめる知識として、これらの神社に奉られている吉備津彦命についてお伝えしましょう。
吉備津彦命の伝説とは!?
冒頭に書かせて頂きました様に、吉備津彦命の伝説は桃太郎の物語の元となっているとされています。また、最初に言っておきますが、この伝説、ヒーローショーさながら、登場人物が何度も変身するドキドキワクワクものです(笑)
昔々、吉備国の鬼ノ城(岡山県総社市)に温羅(うら)と呼ばれる鬼が住んでいました。
温羅は出雲から空を飛んでやってきて、この地域を住まいとしたのですが、瞬く間に吉備地方を支配する様になりました。
この温羅の支配から人々を救う為、天皇に派遣されてやって来たのが吉備津彦命です。
ちなみに、その際に犬飼健(いぬかいたける)、留玉臣(とめたまおみ)、楽々森彦(ささもりひこ)と言う3人の家来を連れて来たのですが、この3人が伝承の中でそれぞれ、犬、キジ、猿となったという説があります。
吉備津彦命は現在の吉備津神社に本陣を構え、温羅との戦いに挑みます。
まず、矢を射るのですが、岩に吸収されて上手くいきません。そこで今度は2本の矢を同時に放ったところ、温羅の左目に命中!
見事に倒したかの様に思えたのですが、甘かった…。ここからがヒーローショーの始まりです。
温羅はなんとキジに変身して空へと逃げます。そこで吉備津彦命もすかさず
鷹へと化け、温羅を追いかけます。
追い詰められた温羅は、今度は鯉へと変わり川の中へと逃げますが、そんな変化は物ともしない吉備津彦命。鯉の天敵である鵜(う)に身を変え、とうとう温羅を捕らえます。
しかし、捕まってもしぶといのが温羅。首を切られて頭を晒されて唸り声をあげ人々を恐がらせます。
これはいかんと吉備津彦命は犬にその頭を食べさせますが、骨になっても唸り声は静まりません。最終的に吉備津神社で神事を行い、温羅の亡骸を釜の下に封じ込め、ようやく温羅との戦いが終わりました。
いや~、ヒーローショーと言うより、もはや妖怪大戦争ですね。歴史に隠れてこんなにワクワクする伝説があるから歴史マニアはやめられません(笑)
吉備津神社と吉備津彦神社の違いをお伝えする記事のはずが、管理人の趣味で、ついつい熱く吉備津彦命の伝説を語ってしまいました…。
ですが、この両神社にはこれだけ熱い伝説を持つ神様が奉られていると考えると、神社に行く楽しみが増えると思いませんか!
伝説に関わる舞台は、吉備津神社の周辺に数多く残されています。
- 鬼ノ城:温羅の本拠地
- 血吸川:温羅の目に矢が刺さった際に血が流れた川
- 鯉喰神社:吉備津命が鵜に化け、鯉になった温羅を捕らえた場所
- 白山神社:温羅の首が晒された場所etc…
吉備津彦命伝説のゆかりの場所を回ってみるのもお勧めですよ^^
また、岡山では「うらじゃ」という、温羅をモチーフにした大きなお祭りが毎年8月に開催されます。こちらも伝説と現代の人々の熱気が合わさった、熱いイベントですので、是非参加してみて下さい♪