前回の記事で、「くださいと下さいの違い」について取り上げましたが、それ以来、日本語について調べる事にガッツリとハマっています。
知らない事が本当に多くて、何も考えずに今まで文章を書いてきた自分を大いに戒めていますね…。
まあ、ハマったと言っても、実際は今後記事を書いていく恐怖心に背中を押されているいるだけなんですけど^^;
さてさて、今回のテーマの「頂くと戴く、更にいただく」。
これ、メッチャ使う機会多いですよね。パッと見て、何となく違いは分かる気はしますが、「本当に使いこなせていますか?」と聞かれると、堂々と「YES!」とは答えられません。
となると調べるしかないですよね!
という事で、リサーチした事をいつもの様に共有しますので、一緒に見ていきましょう♪
まずは2つの漢字の違いからです。
頂くと戴くの違いって?
どちらも基本的には使い方は同じで、事物を「もらう」事を丁寧に表現した言葉とされています。(”もらう”の謙譲語)
では何が違うかと言うと、常用漢字であるか否か。
常用漢字とは、法令や公用文、新聞や雑誌などで現代の日本語を文にする際に使う目安とされている漢字の事です。
- 頂く:常用漢字
- 戴く:表外漢字
つまり、何かを相手からもらう時に、例えば…
「メガネを頂く」の様な形で使う事が好ましいとされています。
戴くはどんな時に使うの?
言葉としての意味は同じですが、漢字自体の持つ意味は異なります。
“頂く”には元々は「頭のてっぺん」という意味があり、それに対して”戴く”は「戴冠」という言葉がある様に、「のせる」という意味を持っています。
テレビ(例えば大河ドラマなど)で、登場人物が目上の人から物をもらう時に、一度頭の上に載せる様な仕草をしているのを見た事がないでしょうか?
この動作が元となり、「もらう」の謙譲語として「頂く・戴く」が生まれたとされています。そして、この言葉に漢字を当てはめる時に2つの言葉の違いは重要視されず、両方とも同じ意味を持った言葉となりました。
頭の上に物を載せるという由来を考えると、実際に目上の人から「事物をもらう事」を表現するとしたら…
「優秀社員賞を戴く」の様に書くのが正しい様にも思えますね。目上の人から物凄く有難い何かをもらった時などには、「戴く」を使うのがスマートかなと感じます。
と言っても、現代では大名から物をもらう事も無いでしょうし、普段は常用漢字の「頂く」を使っておくのが無難でしょう。
少なくとも、書類や履歴書などは常用漢字を使って作成するのが基本ですしね♪
頂くといただくの違い
さて、ここからは漢字と平仮名の違いを見ていきましょう。
「頂く」は「もらう」の謙譲語だとお伝えしましたが、それでは「頂くといただくの違い」はどうでしょうか?
※便宜上「頂く」と「戴く」を同じものとし、漢字での表現を「頂く」とします。
こちらは前回の記事とポイントが同じです。
「くださいと下さい」を使う時に「物」が欲しい時は”下さい”、「行動」が欲しい時は”ください”だと解説しましたね。
漢字と平仮名を使い分ける時のルールとして、補助動詞は平仮名で書くというものがあります。
このルールに沿うと、動詞の後に続いて「イタダク」を使う場合は平仮名を使うのが正解。
- ○:会議の後に資料室へ来ていただけますか?
- ×:会議の後に資料室へ来て頂けますか?
これ、結構間違いやすいです。実際、私も前回の記事を書くまでは全く意識していませんでした^^;
何かの行動を”してもらう”時は「いただく」、物を”もらう”時は「頂く」と覚えてしまいましょう♪
ひと目でこれらの違いが分かる様に、まとめておきます。
頂くと戴く、いただくの使い方
常用漢字かどうか。意味としてはどちらも「もらう」の謙譲語だと捉えられています。
・漢字と平仮名の違い
動作そのものを指す時は漢字。行動に続く場合は平仮名
ちょっとした事ですが、知っていると知らないでは大違い!
この機会にぜひマスターしてしまってくださいね^^
ちなみに、石川啄木の「鳥影」という作品では、「それを話して戴く譯には…」と、動詞の後に続いて「戴く」が使われています。
これを考えると、平仮名と漢字の使い分けは、比較的最近生まれたものなのでしょう。
時代の変遷と共に言葉は変わるものですので、自然な事ではありますが、何とも日本語ってややこしいですね^^;
【もういっちょ!言葉と雑学記事】
※くださいと下さいの使い方の違い!守る必要は!?