高校時代、部活が終わってお腹をすかせて駆け込んでいたお好み焼き屋。
おばちゃんの笑顔と、ソースの焼ける匂い、そして何よりボリュームたっぷりの目の前のお好み焼き。
日常の中のあの小さな感動は、30代になった今でも忘れることはありません。
そんなお好み焼き大好きな私ですが、先日大阪の友人に、「広島焼きってどんなの?」と質問されました。
私は岡山県と広島県の県境近くに住んでいて、小さな頃から両方のタイプを目にしていましたので(岡山はほぼ大阪風です)、作り方の違いはそれとなく知ってはいました。
ですので、作り方を中心に説明したのですが、もし歴史とか、具の違いを聞かれたら答えられないなと、内心ヒヤヒヤものでした。
そんなヒヤヒヤも、大好きなお好み焼きの事をもっと知るには良い機会!
徹底的に大阪と広島での違いをリサーチしましたので、一緒に見ていきましょう♪
作り方の違いは
最も大きな違いと言えるでしょう。
大まかに言うと、大阪風のお好み焼きは生地に材料を混ぜ込みますが、広島風はクレープ状に敷いた生地の上に具材を乗せてしまいます。
言葉ではどうしても分かり辛いポイントですので、それぞれの動画を探してきました。
まずは大阪風です。
大阪風お好み焼き
ご覧の様に、薄力粉をだし汁で溶いた生地の中に、キャベツや揚げ玉、ネギなどの具材を混ぜ込んで、一緒に焼いています。
なお、肉などのメインの具は、お店や家庭によって、先に焼くか、表面の上にそのまま乗せて焼くかの違いがありますよ。
それでは、広島風へ行ってみましょう!
広島風お好み焼き
広島風は、生地を直接鉄板の上に丸く敷いて、その上に具材を豪快に乗せます。もやしを使うのも特徴の1つですね。
ちなみに、大阪では焼きそばはモダン焼のみに入りますが、広島風では基本的にそば入りです。
いや~、この記事書いてるの夜中なんですが、お腹が減って仕方がないです。自業自得ですけどね^^;
さてさて、お次はそれぞれの魅力について見てみましょう。完全に主観でお話しますのが、怒らないでくださいねm(_ _)m
大阪風と広島風のお好み焼き!どっちが良い?
どちらもそれぞれの美味しさがあるのですが、特徴的なのはその食感の違いでしょう。
大阪のお好み焼きの食感は主に生地。しっとりとした口当たりと、炭水化物ゆえの食べ応えが大きな魅力です。
対して、広島風のお好み焼きはキャベツともやしが食感のメイン。生地に挟まれて蒸された野菜の旨みと、シャキシャキ感が同時に口の中にやってきます。
味に関しては、どちらも甲乙付けがたいですね。
ただし、楽しさの面では大阪のお好み焼きに軍配が上がると思います。と言うのも、大阪風は作るのが広島風と比べて簡単で、お店でも皆でワイワイしながら焼く事が出来るから。
広島風のお好み焼きは、家庭では自分達で焼きますが、お店では定員さんが焼いてくれたものを楽しむスタイルが基本ですからね。その分、旨みとふんわり感溢れるプロの技を楽しむ機会も多いですが^^
どっちが先に生まれたの?
「広島が先だ!」「いや、大阪が先だ!」
時にはこんな喧嘩の種にもなってしまうのが、お好み焼き。
その歴史を紐解いてみましょう。
どっちも「ウチが元祖!」と譲らないイメージがありますが、実はお好み焼きの元となったと言われているどんどん焼きが生まれたのは東京です。
どんどん焼きとは
お好み焼きと比べ具が少ないのが特徴で、縁日などで提供される屋台料理でした。かの有名な食通作家である池波正太郎氏が著書に度々登場させた事でも有名です。
なお、現在でも山形県の名物として、箸に巻きつけたどんどん焼きが愛されています。
ただし、どちらかと言えば東京で好まれたのはもんじゃ焼き。
どんどん焼きは屋台料理という移動のし易さからか、生まれ故郷である東京以上に、地方都市にて愛される様になりました。
これが西日本へと渡り、ネギなどを乗せて焼く「一銭洋食」と名を変えるのですが、この一銭洋食は米が圧倒的に不足していた戦後に大人気となります。
そして、その時期に様々な具が試され、「好みのものを具にする」とお好み焼きへと名前を変えたという説が有力です。
そう、大阪風も広島風も、元をただせばどんどん焼き。どちらが元祖という事はないんですよ。
ちなみに、どんどん焼きはこの2つの地方だけでなく、日本各地に広まりました。その結果、他にもご当地名物のお好み焼きが存在しています。
私の住んでいる岡山にも、ここ10年で名物と呼ばれる様になったお好み焼きがありますので、最後にご紹介しますね^^
岡山県のカキオコ
カキオコはその名の通り、牡蠣を混ぜたお好み焼きの事で、備前市にある日生という地域の名物です。
牡蠣の旨みと、海のミルクとも呼ばれるたっぷりな栄養が含まれていて、食べると力がグングン湧き上がってきます♪
これを食べると寒い季節が来たと感じるもの。毎年冬になって、友人などと「日生へ行こう!」と話をする時は、大体このカキオコが目的だったりするんですよ。
なお、「牡蠣を混ぜた」と書いたとおり、作り方は大阪式です^^
お好み焼きは広島では乗せ焼き、大阪では混ぜ焼きです。
「どっちが良い」ではなく、「どっちも良い」。どちらかしか食べた事が無い人は、是非、食わず嫌いをせず、もう片方にもチャレンジしてみてくださいね。
ルーツは同じで、地域の括り無しに、日本の戦後の辛い時期を支えた国民食なんですから!
とは言え、広島・大阪論争はまだまだ続いていくでしょうけど。
「どんどん焼きは乗せ焼きだから、広島の方がルーツに近い!」とか、「全国的には大阪風の方が普及してる!」とか…。
岡山県民の私からしたら、どちらもそれぞれ魅力的なんですけどね^^