久々に家の片付けをしてみると、出てくるわ出てくるわ。祖母の使っていたであろう昭和中期のレシピが沢山納屋から出てきました。
懐古マニアかつ、料理大好きな私からするとお宝の山。
ニヤニヤしながら、「加へて」とか「洗ひ」などといった時代ならではの表現を楽しんでいたのですが、不意にとある単語が目に止まりました。
それは…メリケン粉
うわっ、懐かしい!!!
これ以外に出てくる言葉が無かったですね。今は亡き祖母が台所に立っている姿を思い出して、何だかホッコリしてしまいました。
30代になり立ての私世代より若い方々は、恐らく聞いた事も無いのではないか。そんな事を思いながら、本日はメリケン粉を題材に記事を書いていきたいと思います。
メリケン粉とは!?
メリケン…
アメリケン…
アメリカン…
American, oh yeah!!
そう、メリケンとはずばり「アメリカの」という意味。
明治に小麦粉の輸入が始まった当時、国産の小麦粉と区別する為にアメリカ産の小麦粉を「アメリカの粉」という意味合いで「メリケン粉」と呼んでいたのが由来とされています。
なお、メリケンとは、当時のアメリカの呼称。「米利堅」と書きます。
英語を耳にする機会が少なかった時代です。Americanという言葉が、聞き慣れてい無い事もあり、メリケンと聞こえたのでしょう。
アメリカに関連するものはメリケンを頭に付ける事が多く、今でもメリケンパークやメリケンサック、メリケン波止場などの言葉が残っていますね。
ちなみに、当時の日本の製粉は石臼を使ったもの。対して、大量生産&大量消費が始まっていた小麦大国アメリカは、すでに製粉の機械化が進んでいました。
初めてアメリカ産の小麦粉を見た人達は、その粉の白さに衝撃を受けたそうですよ。
さて、メリケン粉は「アメリカの小麦粉」ですが、現在の区別で言ったら、これって薄力粉なのでしょうか?それとも中力粉や強力粉でしょうか。
メリケン粉って薄力粉じゃないの?
大阪を中心とした関西には、今でも小麦粉をメリケン粉と呼ぶ文化が残っています。
特にお好み焼きやたこ焼きといった粉モノ関連のお店ではこの傾向が強いですね。
お好み焼きに使う小麦粉と言ったら、薄力粉。となると、メリケン粉=薄力粉と頭の中で図式が出来上がりますが、一概にはそうだとは言えません。
と言うのも、最初にメリケン粉が輸入された頃の主な消費方法はパンだから。
パンと言えば、主に使われるのは強力粉。
お好み焼きに使われる薄力粉とは、また違いますね。
ですので、昔のレシピが見つかって、その材料にメリケン粉があったとしても、それがどんな粉なのかは文字だけでは分かりません。
分かるのはアメリカ産の小麦粉って事だけです^^;
料理に合わせて、どの種類の小麦粉を使うのか、現代のレシピと照らし合わせて考えましょう♪
ところで、同じく昔のレシピを見ていると、メリケン粉と共に、「うどん粉」という表記も沢山見かけます。
これはどんな粉なのでしょうか?
うどん粉とは!メリケン粉との違いは?
先に「メリケン粉は国産の小麦粉と区別する為に使われていた、アメリカ産の小麦粉の呼称」と書きましたね。
うどん粉はズバリこの逆。すなわち…
アメリカ産の小麦粉と区別する為の、国産の小麦粉の呼称です。
要するに、うどん粉=日本国産の小麦粉という事ですね。
主に当時の日本の小麦粉の消費方法は麺類。特に、その名前の通りうどんとして食べられる事が多かったので、基本的にはうどんに使われる中力粉だと思ってOK。
元々、日本で作られていた小麦は中力粉を作る中間質小麦が主。薄力粉や強力粉と言った区分自体が海外由来だそうですよ。
こうして歴史と共に言葉の由来を振り返ってみると、その言葉を使っていた人達の顔、風景をイメージして、なんだか懐かしい気分になりますね。
私は子供の頃、祖母が「メリケン粉」と使っているのを聞いて、年寄りくさい!と事あるごとに反発してしまっていた記憶があります。
田舎育ちの性と言いますか、現代風のものに憧れる少年でしたから…。今となっては恥ずかしい限りですが。
今更ながら反省の意味を込めて、今年の祖母の命日には祖母がレシピに赤線を引いていたパンケーキを作って、祖母の霊前に供えたいと思います。
ばあちゃん、甘いものが大好きだったな~。私が生まれた当時は100kgを超えていたくらいの食いしん坊でした(笑)